入倉伸夫のシニアライフ-蕨市塚越-

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◇ 日本のポンペイ黒井峯・西組遺跡ー2

黒井峯・西組(にしぐみ)の2つの遺跡は関東平野の北西の端、群馬県のほぼ中央に位置します、榛名山子持山の中間、利根川吾妻川の合流点に面した数段の河岸段丘上にあります、この遺跡のある旧子持村は畑に大小の軽石が混じり、耕作するのにとても不便で肥沃と見えない土地がらです、この軽石は地元の人々は”カルッパマ石”と呼んで、邪魔者ではあるが鍋釜の煤を取る道具などとして親しんでいました

ところが、昭和30年代ごろ、火山学の研究を利用して遺跡の発掘調査がなされることによって、ようやくかっての火山が爆発した時に降り積もったことが理解されるようになりました、村から南西の方向にある榛名山二ッ岳の爆発によるものです、旧子持村軽石は厚いところで約2m、薄いところでは約40cm程度の堆積があり、粒は5mmから5cmが平均で、厚い場所だと10cm~30cmのものが混じっています

昭和30年代は、この軽石を採取して軽量ブロックの材料としての産業が盛んになり、軽石下から土器はもちろんのこと、昔の地表面に大きな凹凸や畠跡に似た痕跡がしばしば見られるようになりました、これが契機となり遺跡の発掘調査がなされるようになったのです

火山はある日突然に爆発は起こさず、それより前に頻繁に繰り返す地震や地鳴りなどの兆候が見られます、この前兆のあとに大爆発が起り、巨大な噴煙と共に火山灰や岩石を火口から放出し、時には溶岩を流したりします

爆発直後は、大気中にさまざまな現象を与え、場所によっては雷・雨・風などの異常気象を引き起こします、これらと同時に、山麓や平野部に火砕流や泥流と呼ばれる洪水に似た流れが頻繁に起こされます、火砕流は数百度以上の火山ガスに岩石や火山灰を混じえ、火口から時速100kmの速さで流れ、深い谷を埋めたり、山裾を削ったりする現象です

火山の爆発にはこうしたさまざまな現象が同時に起こされています、仮に山麓から平野部にかけて人家や集落があれば、多大な損失を受けるのは云うまでもありません、イタリアのポンペイも、実はこうした火山爆発によって滅亡した町で、高温の火砕流が数回襲いかかったため、焼死したり、空気中を漂う細かい火山灰を逃げる人々が吸って呼吸困難となり、行き倒れて死にいたったという悲惨な火山災害の遺跡です