入倉伸夫のシニアライフ-蕨市塚越-

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蕨、戸田、川口、鳩ヶ谷の古を探る

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伊興遺跡補習ー2

◎伊興遺跡古環境(縄文時代晩期後半~弥生時代

関東地方全体の傾向と同様に伊興遺跡周辺でも、この時期の遺跡は希薄です、遺構は未発見であり、明確な遺物も知られていません、このような背景もまた、当時の地形発達過程が密接に関係しているのでしょう

この時期には、Ⅳ層が堆積する谷が形成されています、上記した遺物の出土状況や放射性炭素年代測定値に基ずくと、本谷は縄文時代中期以降から弥生時代までの間の時期に形成されていることが推定されます

珪藻化石や層相から推定される堆積環境は、流水ないしは沼沢地です、このことは本時期にはこの地域において河川作用が卓越するようになり、それまで存続した干潟を埋没させていったことを示唆しています

また、谷の形成過程としては、河川作用により浸食され形成された可能性、あるいは干潟時に存在したとみられるクリークがその後の河川作用が卓越する時期になっても流路として存続し、そこを流下することで形成された可能性などが考えられます

いずれにしましても、この時期には河川作用が強まったことは確実です、毛長川が現在の荒川筋を流下する大河であった時期がこの時期に該当する可能性があります、また、現在まで痕跡を残す微高地と低地がこの時期にほぼ形成された可能性も高く、このため本時期の前・後期に比べて地形環境が不安定であり、これに対応して人間活動の痕跡も希薄であったかもしれません