入倉伸夫のシニアライフ-蕨市塚越-

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蕨、戸田、川口、鳩ヶ谷の古を探る

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川口の古を考える

宮脇遺跡・大字東本郷字宮脇872-13他 [3]

1号古墳跡は発掘調査区北側に位置しています、独立丘北端部分に相当し、緩斜面が形成される箇所からその末端にかけて、ほぼ等高線の方向に沿った形で構築されています、内径約13mの円形プランを呈し、周溝を伴っています、周溝の残存状況は約1/2でその南側と西側の一部を検出しました、古墳の規模は外径が約17m、内径が13mで、墳形は円墳と思われます、墳はその大半が後世の耕作などにより失われています

周溝は西側部分がやや直線的ですが、全体的にほぼ円形を呈しており、西側に向かって開口する形で、南・西溝の一部を幅約1.8m掘り残してブリッジ部分を造り出しています、また、西側周溝のブリッジ付近と南側周溝東端部分には、それぞれ高さ0.4~0.2m程のテラスが形成されています

古墳の構築時期を判断する上で重要な要素の一つとなる内部主体は残念ながら検出されていません、おそらく、すでに削平されてしまっている北側部分に構築されていたか、もしくは墳丘中に構築されていた可能性が考えられます

遺物は、周溝内から縄文土器・礫及び近世の陶磁器が出土したのみで、本古墳に直接伴う遺物の出土は皆無でした

2号古墳は規模は不明ですが、周溝と粘土施設を有していたと思われる内部主体の一部が検出されています、また、直刀6点、刀子(とうす)1点、鉄鏃(やじり)2点、勾玉(まがたま)1点が出土しています

この古墳は発掘調査区域の南側に位置します、独立丘のほぼ中央から北側にかけた部分に相当し、標高が最も高い平坦面となっている所に構築されています、発掘区域西側中央で周溝の一部が、また南側においては遺物を有する内部主体の残存部分が検出されました、その規模については、調査区域の限定や廃土設置等の制約により周溝が展開すると思われる発掘区域外西側と本古墳跡の南側部分に関しては、調査が不可能であったため詳細は不明です

周溝は遺跡の北東側緩斜面が始まる部分にあり、東西に延びる等高線にほぼ沿った形で構築されています、その中央でやや屈曲していますが直線的な形態を有するもので、西側は発掘調査区域外に展開するものと思われます、東側端では終極しておりこの延長線部分は、ブリッジとなっています、なお、周溝内からの遺物の出土は皆無です

内部主体はその上部の大半が撹乱を受けて消失しており不明確でしたが、遺物の出土位置から推測し、遺物の周囲の丹念な精査により、東西(横)約1.0m、南北(縦)約2.5mの範囲にかけて、周りとは明らかに識別できる腐食性を有する褐色土の分布が確認され、またその上下端部分で白色粘土の散布がみられました、そしてこの褐色土の下から長方形の落ち込みが検出され、木棺跡と判明しました、この木棺跡は、底の一部が残存するのみで上半の多くは消失しています、縦約2.3m、横約0.7m、残存部高さ0.1m弱です、この上下の木口付近には、被覆されていたと思われる白色粘土がみられ、木棺内に落ち込む状態で検出されました