入倉伸夫のシニアライフ-蕨市塚越-

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蕨、戸田、川口、鳩ヶ谷の古を探る

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川口の古を考える

宮脇遺跡・大字東本郷字宮脇872-13他 [4]

この木棺跡を取り囲む状態で、東・西・南側に溝が検出されました、幅約30~40cm、深さは東溝で約20cm、他は30~40cmでほぼ垂直に掘り込まれています

遺骸埋葬施設に伴う掘り方は当初存在しないと思われましたが、調査終了時になりトレンチを設けたところその存在が判明しました、掘り方は推定で、5、6×5、0mの矩形を呈し、深さは20~30cmで、ほぼ垂直に掘り込まれています、掘削の後すぐにその土をもって埋め戻されたらしく遺構確認面と酷似した土質でした

また、東西トレンチの断面観察の結果、木棺跡の床面直下には6~8cmの濁った褐色の粘質土で貼り付けが行われていることも判明しました

遺物は、木棺のほぼ中央北側部分よりそれに平行する形で、直刀6点、刀子(とうす)1点、が重なった状態で、また、鉄鏃(やじり)1点がそれより離れて、さらに勾玉(まがたま)と鉄鏃が棺外に逸脱する形で出土しました、人骨は検出されませんでしたが、木棺跡の東側においてその一部の散乱が見られました

出土遺物について概要を見てみます

◇直刀

1 は最も大振りで、現存長100.8cm、刀身長87.2cm、刀身中位での刀身幅3.6cm、厚さ0.7cm、茎(なかご)は長さ13.6cm、棟側の厚さ0.4cm、刃側の厚さ0.3cm、目釘穴が1箇所あり、それより茎(なかご)尻を欠失しています、関(まち)は両関ですが、棟側が直角に近いのに対し、刃側では曲線状を呈する撫角となっています、切先は、緩やかなふくらみをもっています、茎の中位程に鐔(つば)がついています、これも鉄製で長径7.2cm、短径5.6cm、厚さは外周部で0.5cm内側に向かって幅狭になっています、遺存状態は良くありません

2 は現存長90.6cm、刀身長81.6cm、刀身中位での刀身幅3.4cm、厚さ0.5cm、茎は長さ9.0cm、棟側の厚さ0.8cm、刃側の厚さ0.4cmです、茎中程から茎尻にかけてと、切先を欠失しています、切先はふくらみをもつものと推定されます、関は両直角関と思われ、そこに断面倒卵形の鉄製はばきが装着されています、遺存状態は良くありません

3 は現存長81.4cm、刀身長76・6cm、刀身中位での刀身幅2.9cm、厚さ0.5cm、茎は長さ4.8cm、棟側の厚さ0.6cm、刃側の厚さ0.6cmで、茎中程から茎尻にかけて欠失しています、切先は直線的でわずかにふくらみをもち、切先から4cm程から内傾しているが、埋納後の変形と思われます、関は両撫角関であるが、棟側より刃側の切れ込みの方が深くなっています、遺存状態は良くありません

4 は現在長48.8cm、刀身長44.6cm、刀身中位での刀身幅1.7cm、厚さ0.5cm、茎は長さ4.1cmで、茎中程から茎尻にかけて欠失しています、小振りで小刀の部類にはいるもので、関部の遺存状態は悪いが、両撫角関のようで切先は緩やかにふくらみをもっています、遺存状態は良くありません

5 は全長47.4cm、刀身長36.2cm、刀身中位での刀身幅2.5cm、厚さ0・5cm、茎は長さ11.2cm、厚さ0.4cmで、小刀の部類に属するものです、切先は緩やかなふくらみをもっています、関は両直角関と思われ、鉄製で断面倒卵形のはばきが装着されています、さらにそのはばきに接して同じく倒卵形の鉄製鐔(つば)装着されています、この鐔は長径4.8cm、短径3.4cm、厚さ0.2cmの無窓です、茎は茎尻に向かって先細りとなっており、茎尻は1文字尻に近いものです、また、茎尻近くに目釘穴が1箇所認められます、遺存状態は良くありません

6 は現在長16.0cmで欠失部分が多く、わずかに茎の一部と刀身の関寄りの棟側部分を残すのみです、刀身は棟側幅0.4cmで刀身幅は推定2.4cmと思われます、関は両直角関で、茎は幅0.6cm、厚さ0.2cmです、関部には関に接した茎部分に幅0.1cmの部品装着痕が明瞭に残っており、その幅から鐔の痕と思われます、また、茎には茎元近くに布状の有機質が一部付着しています、さらに、刀身には鞘の一部と思われる木質が残存しています、全体の遺存状態は良くありません