入倉伸夫のシニアライフ-蕨市塚越-

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《戸田の遺跡》

◇南原遺跡第9次発掘調査-16

南原9-2号墳で、ごく少量の出土埴輪であるが、円筒埴輪に埼玉稲荷山古墳出土例と同じ調整方法の採用が確かめられ、埼玉の首長の管轄のもとに供給されたらしいことも判りました、このことは埴輪の流通と地方支配の実態を知る上で重要です

埼玉古墳群における円筒埴輪編年は、稲荷山古墳の築造期を1期(5世紀後葉)、群中最大の二子山古墳(138m)の築造時期を2期(5世紀末)としますと、これまで観察してきた特徴から南原9-2号墳の位置付けは埴輪は1期的特徴と2期的特徴が看取され、1期と想定しても、1~2期の中間期と想定してもよいようです、南原9-2号墳が稲荷山古墳にほぼ併行するか、やや後出する二子山古墳の築造までには築かれていたことを示しています

南原9-2号墳は埼玉古墳群から約40km、生出塚窯・和名窯・馬室窯からでも30km前後の距離に位置します、現時点ではどこで埴輪が製作されたか確証はありませんが、上記の窯の何れかから供給を受けたとしても30km以上の距離を運ばれてきたことになります、古墳時代後期後半以降に活発化する生出塚窯から遠距離への埴輪の供給と同様の状況が、埼玉政権発生当初から存在していた可能性が高いと云えます