入倉伸夫のシニアライフ-蕨市塚越-

学び合い 〔仲間募集〕 ℡ 048-432-1433

蕨、戸田、川口、鳩ヶ谷の古を探る

《戸田の遺跡》

◇南原遺跡第9次発掘調査-13

今回の第9次発掘調査では、古墳2基の遺構が検出されています(区別のため「南原9-1・2号墳」と略称しておきます)、また、今回の調査区に隣接する東側は2008年(平成20年)の第8次調査で発掘調査されており、人物・馬形・円筒埴輪などが出土しています(しかしながら諸般の事情により報告書は未刊行です)

さらに、遡ると南原第1次調査以降、この周辺では複数の円墳が検出され、埴輪を伴う外径約25mの南原1号墳も存在します、加えて、埴輪樹立古墳に隣接して「1号円形周溝」とされる遺構があり、周溝内から土師器が検出されています

このほかにも2・3号円形周溝墓と称される周溝の外径が11.5~15mの小型の墳墓が確認され、周溝内から甕形土器が出土しています、円形周溝墓とされているこれらの遺構は、他地域の事例や周溝の状況などから判断すると墳丘部分が削平された円墳の可能性もあります、とすれば、周辺には複数の小規模古墳が存在していた蓋然性が高くなります

南原遺跡の北西300mの上戸田本村遺跡では、弧状を呈する周溝の一部が確認され、周溝内から円筒埴輪、髷(まげ)・腕・胴部片を含む人物埴輪と飾馬1頭分の埴輪が出土しています、埴輪の特徴から6世紀後半から末葉の年代が想定され生出塚(おいねづか)埴輪窯からの供給と考えられます

ごく一部の確認にすぎないため墳丘の形態・規模は不明ですが、南原1号墳に類する墳丘径17m前後の円墳と思われます、このように周辺では、墳丘径15m前後の小型円墳に埴輪が伴うことが確かめられつつあります