入倉伸夫のシニアライフ-蕨市塚越-

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《戸田の遺跡》

◇南原遺跡第9次発掘調査-11

検出された遺物の中に、円筒埴輪の他に、馬形埴輪、家形埴輪、人物埴輪の破片と思われるものがあります

馬形埴輪は飾馬で、その馬装表現から当時の飾馬を比較的忠実に表現していると推測されます、全体の遺存状態は良好とは云い難いのですが、尻繋ぎには剣菱形に3個の鈴がつく鈴付剣菱形杏葉が側面に各1個を垂下しています、雲珠(うずー馬具の一部)は遺存しませんが、径約2cmの孔に沿って粘土の付け足しが認められることから環状雲珠を表現した可能性もあります

雲珠に接して菱形の剥離痕が観察されることは、ここにも鈴付剣菱形杏葉が貼付されていたことを示しています、尾は径約5cmの中空に作出されていますが本体との接点を有していず、尾の直下には径約3cmの円孔を穿っています

杏葉本体は正確に剣菱形を呈しており、鈴の表現も小型で誇張されていない点を考慮すると、古相の鈴付杏葉を参考にして製作されたと思われます、鞍部分は出土していませんが、障泥の縁部に革の縁取りを示す丁寧な刺突表現が存在することから、鞍は革装で、その表面は丁寧な刺突表現で充填されていたようです

比較的古い形態をもつ馬装表現が採用されており、土師器・須恵器や円筒埴輪の編年観とも矛盾することなく整合しています、東国に馬形埴輪が出現した初期段階から、馬と馬子はセットでの樹立が通有ですので、当墳にも馬子の埴輪が伴っていると思われます