入倉伸夫のシニアライフ-蕨市塚越-

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蕨、戸田、川口、鳩ヶ谷の古を探る

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《戸田の遺跡》

◇南原遺跡第9次発掘調査-9

井戸跡は調査区の東側、特に河川跡を検出した南東に10基が分布しています、平面形は円形が主体で、断面形は逆台形(1・7・9号井戸跡)、漏斗状(2・3・4・10号井戸跡)、U字形または不明(5・6・8号井戸跡)に3分できます、規模は直径1~3mで、深さは完掘した1・7・9号井戸跡で約1m、その他の井戸跡も湧水点が相対的に高いことから、ほぼ同程度の深さと推測されます、全て素掘りで、井戸枠等は木材設置の痕跡なども含め確認できませんでした

遺物の出土量は遺構により多寡がみられます、器種は古墳時代の土師器壺・甕・高坏・器台・小型丸底壺から平安時代の土師器坏、須恵器坏・蓋・壺・甕、さらに中世の陶器・須恵器など年代差があります、9号井戸跡では底面附近(4~9層)から土師器が集中して出土しました、これらの出土土器と重複関係から、1・5・9号井戸跡は概ね古墳時代前期、2号井戸跡は12世紀代以降、3・4・6号井戸跡は平安時代以降の埋没時期が推定されます

井戸跡は過去の調査で1基しか検出されませんでしたが、本調査区で初めてまとまって検出されました、これらの井戸跡は、河川跡に沿って配列するような状況で、しかも、古墳時代から中世まで連綿と構築され続けられています、当該期の人々は河川跡附近にある水脈を熟知していたのでしょう、戸田市の地形を改めて確認すると、微高地の縁辺に同様の河川跡があると考えられ、井戸跡が検出される可能性は高いではないかと思われます