入倉伸夫のシニアライフ-蕨市塚越-

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”夢まぼろしのような蕨駅前のダンスホール・昭和10年”-7

蕨市立歴史民俗資料館 紀要 第7号より

昭和10年10月刊の『ダンスホール建築』によれば、「シャンクレール」は佐藤武夫の設計で、木造平家建て、建坪は210坪、ダンスフロァーは60坪、客席は70坪、そのほかにステージ、パーラー、テラス、パティオ(中庭)、庭池、ダンサー控え室、事務所などから成っており、店の正面入り口にはネオンが点灯し、「Chante Claire」と記され付けられていました(註25)

設計者の佐藤武夫は、早稲田大学卒業後、主として建築における音響工学を追求し、日光東照宮の「鳴竜」の研究者として知られていました、早稲田大学の大隈講堂(重要文化財)をはじめとして、草月流講堂・岩国徴古館・千葉映画劇場・宇野千代氏邸・福井放送局・長崎中央橋・前橋市庁舎・東銀座ビル・群馬県警察本部など戦前戦後を通じて多くの建物の設計に携わっています

昭和7年8月に赤坂溜池の「フロリダダンスホール」が焼失していますが、再建の設計にあたったのが当時新進の設計者であった佐藤武夫でした、佐藤は早いホールの再開を急ぐ経営者の要請に答え、わずか2ヵ月で再建しています、その縁で同じ経営者であった「シャンクレール」の設計にあたったものと思われます

ちなみに同氏は埼玉県内でも公共施設を中心に設計をしており、「熊谷市庁舎」「入間市庁舎」などを手がけています(註26)