入倉伸夫のシニアライフ-蕨市塚越-

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蕨、戸田、川口、鳩ヶ谷の古を探る

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◇ 蕨の歴史ー5

土壌の種類と分布は基本的には微地形に支配されます、すなわち、自然堤防上には褐色低湿地土、後背湿地や河道ではグライ土、灰色低地土などが分布し、これらの土壌の下位に泥炭土が認められる場合があります

自然堤防は昔から集落、果樹園や畑地として利用されてきました、自然堤防上には、褐色低地土と呼ぶ土壌がみられます、比較的新しい時期の洪水氾濫堆積物を母財とし、砂やシルトを含む砂壌土です、後背湿地より高いため、透水性(排水)が良く、水持ちも良好な土壌です、この土層は外気に触れ酸化され褐色を呈します

河道から離れた氾濫原は自然堤防より細かいシルトないし粘土質の堆積物からなっており、洪水時の出水はなかなか排水されず、いわゆる後背湿地になっています

ここでは灰色低地土と呼ばれる土壌が発達します、灰色低地土は全層粘土質で壁状構造をなし、地下水が停滞するため土壌中の酸化鉄は還元され、二価鉄となり灰色を呈するようになります、また、1年中水のつく所では強還元状態となり土層は灰色を呈し、この土壌を特にグライ土と呼んでいます

後背湿地の中でより低いところでは沼沢地となり、ここではヨシやマコモなどの植物由来の低位泥炭が次第に累積して沼沢地が消失すると、洪水堆積物により覆われ、灰色低地土が生成されます、このため灰色低地土の下位に泥炭層がみられる場合が多く、かっての沼沢地のなごりを示しています

旧河道にも灰色低地土と同様の土壌が見られる場合が多くあります、旧河道は随所に凹地が残るため、低位泥炭が生成しやすい条件にあります、武蔵浦和駅付近から鳩ヶ谷付近の旧河道には帯状に灰色低地土の下に泥炭層が挟っています

このように、土壌は自然状態としては、微地形や母材、さらに、排水や植生などの条件の違いにより規定され生成します、しかし、低湿地では、人間達は土壌の特性を生かし、稲作の地としての水田土壌に改変してきました、灰色低湿地で水田耕作が行われると、水田特有の土壌断面がつくられます

春先に行われる代かきの結果、耕作土中の粘土など細かい粒子が下位の隙間にしみ込み、かつ踏み固められ、水漏れを防ぐ鋤床層が形成されます、夏期は水につかるため土壌は還元され灰色となります、鋤床層の下位は心土とよばれ、流下した二価鉄は三価鉄となり褐色の鉄斑紋をつくります、冬期は排水せず1年中水の下にある水田は、心土も強い還元色(青色)を呈し、水田グライ土壌となります