入倉伸夫のシニアライフ-蕨市塚越-

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◇ 足立郡衙と足立氏-私的考察 ⑧

エタモヒノ命が武蔵国造となったあと、それがどのように継承されていったかを示す史料はありません、武蔵一の宮に当たる大宮氷川神社の社家である西角井家に系図が存在し、出雲系の祖神アメノホノヒノ命に始まり、武蔵国造となったエタモヒノ命を含め律令時代以降に至る国造の系譜を示していますが、8世紀段階のあり様をみると、丈部と大部を混同し、丈部を大伴とする誤解をおかしている事が容易に判ります

この系図では、一見して『続日本紀』にみえる大伴氏出身の有力貴族である大伴道足や同古麻呂と丈部不破麻呂や同弟総などを適当に配列したことがうかがわれ、信憑性ありとは云えないのです、大伴と丈部を混同しているあたりは、かなり水準の低い系図偽作者の手に依っているというべきで、後に西角井家の系図を作ることになった者が古来からの国造家の系図に仕上げるため『日本書紀』を始めとする古書に見える神名・人名を採ったり、架空の人物名を置くなどし、辻褄を合わせたものと思われます

道足ー古麻呂ー不破麻呂ー家刀自あたりの偽作が明白なことからみて、それ以前の八背直以降についても信用出来ないでしょう、西角井家の系図の8世紀以前については全くの後代の偽撰と云わざるをえないでしょう、従って丈部がどういう系統の者であるかは判っていないのです