入倉伸夫のシニアライフ-蕨市塚越-

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蕨、戸田、川口、鳩ヶ谷の古を探る

◇ 足立郡衙と足立氏-10

耕地されていない土地がひろがり、しかも地形が比較的平坦である武蔵国は、牧草の生産に適していたこともあり、各地に古くから牧が設置されていました、牧には勅旨牧・官牧・私牧があり、勅旨牧としての足立郡大牧(さいたま市)かとも考えられる立野牧があります

大牧は文献の上では「足立郡芝郷大牧村」として南北朝期にまで遡り得る古い地名で、隣接して大間木(さいたま市)があり、おそらく大牧と大間木には明確な区別はなく、両方を含めた範囲を「おおまき」と称していたものと思われます

この辺りの地形は、見沼の低地を東にみながら台地がつながり、牧には好適の地となっています、また、近隣の中尾(さいたま市)には、馬の木像を神体として祀った駒形神社があり、周辺にも駒場・駒前・駒形などの牧に関すると思われる地名が多く残されており、古代の牧をうかがわせています

地方政治の乱れとともに、荘園が私領化するのと同様に、これらの牧もまた在地豪族によって押領されていきます、このことは、在地豪族が武士化する要因の一つともなり、牧は武士団の拠点ともなっていきました