入倉伸夫のシニアライフ-蕨市塚越-

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蕨、戸田、川口、鳩ヶ谷の古を探る

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◇ 猿貝北遺跡(奈良・平安時代)(続)

検出された遺構では、製鉄炉跡6基、製鉄炉に伴うと思われる土壙12基、台地の傾斜面上部で奈良時代後半と思われる住居跡2軒、台地平坦面では時期不明であるが、溝・土壙・井戸跡などが多数あります

検出された製鉄炉本体の跡は6基ですが、いずれもその大半が失われ、わずかに炉床下の焼土および粘土がみとめられるだけです、製鉄炉は、傾斜面を一部平坦に削平して構築されています、確認された6基の製鉄炉跡の焼土は、全て円形で、50~60cm前後であり、炉の外壁あるいは炉床下の粘土も円形のプランを呈しています、従って、製鉄炉本体は円形の竪形炉であったと思われます

1号製鉄炉の前面には、作業場と思われる前庭部を一段低く掘り窪めています、焼土・スラグ・木炭・炉壁片の堆積状況から、1号製鉄炉とその脇にあり前庭部を1号製鉄炉と共有している2号製鉄炉の2基を合わせて、少なくても3回以上の操業が行われたものと判断されます、炉床下にスラグ・砂・焼土などが層位をなしていることは、湿気をとる効果ともなっているのでしょう

製鉄炉の他には、木炭の詰まった土壙1基、砂鉄を集積した遺構1基、砂を集積した遺構2基があります、これらはいずれも掘り方は浅く、深さは20~30cm、径は1~2mです、他にも大型で深さも1mを越え土壙の下半が袋状となっているものが3基あり、おそらくは炉構築用の粘土を採った跡かと思われます