入倉伸夫のシニアライフ-蕨市塚越-

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蕨、戸田、川口、鳩ヶ谷の古を探る

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考古学で読む「日本書紀

武蔵国造の乱”(大田区立郷土博物館編)より 総習[13]

埼玉・稲荷山古墳の礫槨からは金象嵌銘鉄剣をはじめに多数の副葬品が出土し、画文帯神獣鏡もこの中に含まれていました、鏡式は環状乳式画文帯神獣鏡で、この同型鏡(原鏡から鋳型をおこして鋳造する踏み返しの鏡)はあと5面が知られていますが、その内1面が高崎市・八幡観音塚古墳より出土しています

また、鏡式は異なるが同向式画文帯神獣鏡が大泉町・古海原前1号墳より出土しています、こちらはあと16面の同型鏡が知られており、その中には、熊本県・江田船山古墳が含まれています

江田船山古墳からは銀象嵌銘鉄刀が出土していますが、稲荷山古墳の金象嵌銘鉄剣と共に「ワカタケル大王」と訓める銘が見られるという共通点があります、この「ワカタケル大王」は雄略天皇であるとする説が有力ですが、その雄略朝の時期に、これらの刀剣が画文帯神獣鏡と共に政治的意図をもって配布されたとする説があります

これらの鏡式の画文帯神獣鏡は雄略朝における政治的背後関係を示す道具として、各地に配布されたものとみることができ、その配布先には「毛野・吉備・筑紫・肥後・日向等」が認められることから「これらの多くに『記紀』に反乱伝承をもつ地が存在する点」を見逃すことができないという指摘もあります

このような点を考慮すると、画文帯神獣鏡を持つ首長達の治めた地域は、大和政権による東国経営上確実に押えておかねばならない要所であったに違いないことがわかります、稲荷山古墳や古海原前1号墳の所在地は、正に、上毛野ののど仏にあたる位置ということができます