2015-03-25 蕨、戸田、川口、鳩ヶ谷の古を探る 考古・歴史 #人類学と考古学 〔川口の遺跡〕 ◇ 東・上ノ台・道合久保前遺跡-6 国道298号(東京外郭環状道路) 新設工事に伴う埋蔵文化財発掘調査報告書 平成元年 〔遺跡各説・東遺跡①〕 東遺跡は、東西140m×南北70mの範囲が、当初調査対象とされていました、しかし、遺跡内を縦横に走る既存道路はその確保の必要性から、また過去の破壊により、既に現状の失われている部分についても調査対象から除外されました その結果、北側の一部を除く遺跡全域にわたり、江戸期における大幅な造成行為が及んでいる事実が確認されました、このことにより、江戸期以前の遺構群に関しては既に消失してしまった可能性が高く、遺構・遺物の検出はあまり出来ませんでした なお、江戸時代については、良好な遺構・遺物が検出されました、以下その概略を記します ◇縄文時代 この時期に関する遺構の検出は皆無ですが、遺物の出土が確認されています、撚糸文、条痕文系土器を中心とする早期土器群及び称名寺・堀之内式期を中心とする後期土器群です 今回は量的にあまり多くの出土は見られませんでしたが、前者に関しては、質的に良好な資料が得られ、他に押型文・沈線文系土器を伴っています、また、石鏃、打製・磨製石斧、磨石、石皿等の各種石器類が出土しています ◇中世 同様に当該期の遺構の検出もありませんが、若干の遺物の出土が確認されています、これらは全て、上部撹乱層及び江戸時代の遺構覆土中より出土しています 瀬戸窯・窖窯期の灰・鉄釉小皿や、同大窯期の天目茶碗等の国産陶器、並びに中国竜泉窯系青磁鎬蓮弁文鉢の貿易陶磁の出土が小破片ながらみられました、また、これらの陶磁器に混じって板碑片が出土しています