入倉伸夫のシニアライフ-蕨市塚越-

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考古学で読む「日本書紀

武蔵国造の乱”(大田区立郷土博物館編)より [3]

◇登場人物

武蔵国造笠原直使主(カサハラノアタイオミ)

この記事の主人公です、物語の始まりからすでに名前の頭に国造の名が付されています、これは記事が書かれた後世の時点からみているため、国造になった使主という意味でこのように記したと考えられます、しかし、素直に読んで事件の始まる以前から、すでに大和政権の地方官としての国造の地位にあったとするなら、小杵(ヲキ)の反逆は直接大和政権に向けられたに等しいこととなります

②同族小杵(ウガラヲキ)

使主に対する悪役的存在です、使主とは同族、つまり血縁関係にあるのだから、この物語をあくまで身内同士の問題としてとらえることも可能といえます、また、一度は使主を追い出すことに成功したことから、かなりの力を貯えた人物と想像することもできます、うがった見方をすれば、小杵が大和政権に援助を求められず小熊(オクマ)の下に走らざるをえなっかたのは、使主と大和政権の関係がかなり深かったためではないかとも想像されます、このことは、始めから「武蔵国造笠原直使主」という名前のあげ方をしている点とも大きく関わってくるかもしれません、物語の中の性格描写から、『日本書紀』編纂者の立場を明確にしています

③上毛野君小熊(カミツケノキミオクマ)

古代上野国の大豪族、小杵が頼った相手であるが、結局その助けにはならなかった、しかし、物語の中にこの名をあげたことが、大和政権に対する強力な在地権力の存在を認識させます

④ミカド

「朝廷」「国家」という記載にミカドと振り仮名がされている、これらは大和政権を象徴していると考えられるが、その振り仮名から、ミカド、つまり天皇その人を示すとみることもできるでしょう、人物としての実像を求めようとすれば、安閑天皇をあげることになるでしょう、しかし、争いの発端は安閑天皇の時代の前代、継体天皇の時代にあったと考えられます