入倉伸夫のシニアライフ-蕨市塚越-

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蕨、戸田、川口、鳩ヶ谷の古を探る

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川口の古を考える

戸塚立山遺跡・大字戸塚字立山4532-1他地点 [3]

転用硯・転用紡錘車・石製腰帯具はいずれも壁際から出土しています、特に転用硯は壁からすべり落ちたような状態で出土しています、調査では、竪穴の堀り込み部の外の構造を把握することは出来ませんでしたが、竪穴内では建物構造に関連すると推測されるピットはあるものの、柱穴となる明確なピットが無いことから、竪穴外に柱穴を建てる構造で、竪穴外に若干の屋内空間を有していた可能性も考えられます

これらの遺物が床より一段高いスペースからすべり落ちたとすれば、遺物が床面上より高い位置から出土していても、当竪穴住居跡に伴うと判断することができるでしょう、また、調査区内において、須恵器および土師器の出土がほぼ竪穴住居内に限られ、遺構外ではほとんど出土しないことからも、これらの遺物は竪穴住居跡にともなうものと思われます

石製腰帯具は共に出土した須恵器・土師器の年代観から、ほぼ、9世紀前半のものと思われます、須恵器坏の転用硯や刀子の出土から、あたかも文書執務を行う官人層の存在が想像されますが、細事について種々検討の余地があり、その存在を即断すことは慎重でなければならないでしょう、いずれにしても一般庶民と区別された人々が用いる腰帯の付属品が出土したことは、当竪穴住居跡のあり方を考えるうえで重要なことと言えると思います