入倉伸夫のシニアライフ-蕨市塚越-

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蕨、戸田、川口、鳩ケ谷の古を探る

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鳩ケ谷の古を考える

前田字前田第1遺跡・南5-16-25他地点調査(続)

調査地は南鳩ケ谷駅設置に伴う換地予定地の4m道路築造部分160㎡で、溝跡、土坑が検出され、平安時代の土師器、甕、須恵器杯などが出土しました、遺構、遺物の年代、立地条件などから東南方面にあり、平成6年1月~3月に調査、検出されている前田字前田第1遺跡・南5-3-1と遺跡の性格が同様であると判断され、同遺跡の包含地とされました

この調査では、溝跡15条、井戸跡3基、土坑21基、小穴57個が検出されました、溝跡は東西軸と南北軸のものが混在しています、第1・2・7号溝跡は古墳時代前期の方形周溝墓の溝とも考えられますし、また、溝からの台付甕といった生活用器の出土状況から、低地における排水を兼ねた区画溝とも考えられます、その他第3号溝跡も古墳時代前期のもののようです

第4・11・13・15号溝跡は、出土遺物から中世のものと思われます、第4号溝跡からは常滑産大甕や在地の焙烙が出土し、第11号溝跡からは古瀬戸系陶器、常滑や渥美産甕などが出土しています、この溝は中世でも鎌倉時代が相当するようです

井戸跡は、調査区東端に3基偏ってあります、第1号では、出土遺物が全くなく、第2号では古瀬戸系陶器の仏華瓶や常滑系陶器甕(転用砥)などの破片が出土しています、年代はいずれも中世です、第3号井戸跡は、半分は発掘区域外となりますが、平面形は2mほどの円形で出土遺物は豊富です、龍泉窯系縞連弁文の舶載青磁碗や常滑窯系捏鉢の年代から15世紀前半とみられます

土坑はいずれも円形を基調とするもので、21基検出されています、第2・6・11・14・16号土坑では流転していますが土師器破片が出土することから古墳時代前期頃とみられます、第12・20号土坑はカワラケや染付磁器が出土していることから近世と思われます

小穴は57個検出されていますが、年代的には、殆ど不明です

以上のように、 この調査地は古墳時代前期、平安時代、中世の各時代の遺構が同空間から重複して確認されています、自然堤防上に掘り込まれた溝の主軸方向の違い等は、各時代における治水による集落経営の姿をの一部を想像させます