入倉伸夫のシニアライフ-蕨市塚越-

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蕨、戸田、川口、鳩ヶ谷の古を探る

《戸田の遺跡》

◇南原(高知原=たかちぱら)遺跡第6次発掘調査-9

中世の遺構について

南原遺跡の中世の遺構としては、5次調査までに掘跡が3本検出されています、戸田の地の中世の歴史を物語るものとして考えられるのは、上戸田の多福院や海禅寺で、その開基として縁起や由緒書に見える桃井播磨守直常の子中務少輔直和の戸田居住説があります、それは「戸田御所」「戸田城」「もものい屋敷」「百の井屋敷」等の名称とともに伝えられてきています、しかし、確かなことは未だ明らかになっていないのが現状です

今回の調査区域においては、掘跡が2本、溝跡が1本検出されています、いずれも破片ではありますが、常滑系の甕を出土しており14世紀から15世紀に比定されるものです、掘跡は2本がほぼ重なるように掘られ、埋没した後同じ場所に掘られているようです、第5次調査地では第1・2号掘が調査区域のほぼ中央を南北に並行して掘られており、常滑系や瀬戸美濃系、古瀬戸、山茶碗系などの陶器が破片ですが検出されています

掘り方を見ると両地点ともに同じような傾向がうかがわれ、関連性など調査地点が離れていることや方向の違いなど即座に結び付けることは難しいのですが、興味深く見ることができます、今後、両方の堀跡を結び付ける資料や、建物跡などの資料が加えられことにより、館跡の存在や規模などが除々に明らかになっていくことが期待されます