入倉伸夫のシニアライフ-蕨市塚越-

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蕨、戸田、川口、鳩ヶ谷の古を探る

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◇ 蕨の歴史ー212

蕨市内の寺院・神社については、中世における文書や記録がほとんどなく詳細は不明です、現在『宗教法人名簿』に登録されている寺院は、真言宗智山派の三学院、三蔵院、同霊雲寺派の長泉院、臨済宗建長寺派の宝樹院、日蓮宗の本法院、宝蔵寺の6ヵ所ですが、文政年間(1818~30年)に編さんされた『新武蔵国風土記稿』によると、これらに加えて11ヵ所の寺院が掲げられ、数ヵ寺の伝承や開山などが記述されています

これらは、もとより根拠に乏しく真実を伝えているとは言い難いのですが、何らかの資料に基づいていると思われます、ほかに江戸時代に書かれた縁起や由緒などを伝える寺もあり、これらを通じて市内の寺院について概観してみます

三学院は、享保10年(1725年)4月の火災により旧紀を失ったため創建の時期は不詳ですが、天保4年(1833年)の「御由緒等書上帳」によると、開基は不明としながらも天正年間(1573~92年)に浦和玉蔵院より宥盛(ゆうせい)が中興第一世として移住した旨と記されています、また、『新編武蔵国風土記稿』では慶長年間(1596~1615年)に開山として賢廣(けんこう)を掲げていますが詳細は不明です

ただ、天正19年(1591年)に寺領20石が徳川家康より寄進されているので、当時すでに相当の寺格を有していたものと考えられます、また江戸時代を通じて関東十一談林の一つとして末寺22ヵ寺を有していました

なお、三学院には平安時代後期の製作になる木造十一面観音立像や市内唯一の図像を刻む文明13年(1481年)銘阿弥陀一尊図像板碑があります