入倉伸夫のシニアライフ-蕨市塚越-

学び合い 〔仲間募集〕 ℡ 048-432-1433

蕨、戸田、川口、鳩ヶ谷の古を探る

イメージ 1

◇ 蕨の歴史ー210

三学院の画像板碑は、15世紀なかば以降に多く見られる典型的な結衆板碑の例です、蓮座部分を薬研彫りとしないで浅く平らに彫りくぼめていますが、この形態をもつ画像板碑は、川口市南町吉祥院の延徳2年(1490年)銘など、草加市や東京都足立区などに10基ほどあり、衣紋の表現に若干の相違があるものの、阿弥陀如来像の高さや全体の刻みは類似しており、こうした画像板碑を組織的に製作する工房が、この周辺に存在していたものと考えられます

板碑以外の石塔である宝篋印塔(ほうきょういんとう)・五輪塔は、その材石として安山岩質の石が主に用いられています、これらは、板碑と異なり宝篋印塔で五個体、五輪塔で4個体の各部材を組み合わせて1基としているため、地震などによる倒壊や風化などにより完形のものは少なく、そのほとんどは各部材の一部が残されているに過ぎません

埼玉県内では、板碑以外の石塔については組織的な調査は未だ実施されていませんが、紀年銘のある宝篋印塔・五輪塔については現在までのところ270基あまり確認されています、最古の宝篋印塔は川口市舟戸町善光寺の元亨2年(1321年)銘のもので、相輪部が欠失しており、塔身部も当初のものか不明ですが高さが148cmあり、板碑優位の県南部の中世石塔のなかにあって貴重な存在です