入倉伸夫のシニアライフ-蕨市塚越-

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蕨、戸田、川口、鳩ヶ谷の古を探る

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◇ 蕨の歴史ー203

蕨にある鎌倉時代から戦国時代に至る、いわゆる中世に造立された石造物は、板碑(いたび)71基、宝篋印塔(ほうきょういんとう)と五輪塔については完全なものはなく、それぞれの部分品が遺されているだけです、また板碑についても錦町吉澤家にある5基のうち4基は、岩槻市内から移動したものであるので、市内の板碑は67基です

これらの石塔の造立目的は、死者の1年忌、7年忌などの追善供養に際して、あるいは生前に自分のために仏事を修して死後の冥福を祈る逆修供養のために建立されたものがほとんどですが、いずれにしても、蕨では他地域と同様に中世全般を通じて板碑を中心とした造塔活動が行われていたことが判ります

これらの石造が、中世に入って大量に造立された背景には、これまでの信仰が貴族などの上流階級に限られた天台・真言真言密教平安時代後期に起こった浄土教の教えが、鎌倉時代になって武士を中心に広く社会に広まり、さらに浄土宗や時宗禅宗日蓮宗などの鎌倉仏教と呼ばれる仏教全体の動きのなかで、より一層広い階層に浸透していったことが大きな要因と言えます